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【アキラの監督ノート】新規加入選手 獲得の裏側~小林広夢編~
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第2弾は、小林広夢選手、獲得までの道のり。

いつも金沢ポートを応援してくださっているファンの皆さま、本当にありがとうございます。
代表兼監督の西東 輝です。
前回の谷垣佑真選手獲得秘話が好評だった?!ということで、今回は小林広夢選手の獲得秘話を皆さんにお伝えしたいと思います。
ぜひ、最後までお読みいただけると幸いです。
「金沢ポート、ダブルス勝てればね〜」
この2年間、私が最も多く耳にした言葉です。
正直、胸が痛くなるくらい、何度も言われました。
チームのデータ班が調べてくれたところ、
Tリーグ全体で「ダブルスを取ったチームの勝率」は約73%
一方、昨季における金沢ポートのダブルス勝率は36%
もちろん、私も第2マッチを0‐1で迎える苦しさを、常に感じていました。
そして、これを変えなければチームの上位進出はないと。
ダブルス強化が最優先課題
そして、何度も自分に問いかけました。
「本気で動くってなんだ?」
「監督として、チームに何ができる?」
答えは明確でした。
- 試合に勝つことが監督の仕事。
- 勝てる選手を獲得することが監督の責任。
- 選手をスケジューリングして、勝てる選手をコートに送り出すのが監督の役割。
ならば、「どうやってダブルスを勝てるようにするか」を考え抜こう。
難しい理屈を一度脇に置き、「Tリーグで一番ダブルスのうまい選手を獲る」。
それだけに集中しました。
「今、日本で一番ダブルスがうまい選手は誰か?」
この質問をされたら、多くの卓球ファンが同じ名前を挙げるはずです。
そう、“小林広夢選手”と。
- 2023-24シーズン:10勝6敗(勝率.625)
- 2024-25シーズン:18勝4敗(勝率.818)
パートナーが誰であっても結果を出す力。
その安定感と勝負強さ。まさに“ダブルスの申し子”です。
でも、ここからが本当の難しさ。
「どうやって彼に、金沢ポートを選んでもらうか?」
その答えは、誰にもわかりません。
正解を持っているのは、小林広夢選手だけです。
不利な条件しかない中で
小林選手は、関東在住。
前所属チームは環境も抜群で、練習相手も豊富、しかもレギュラーを確保し、優勝も経験。
一方の金沢ポートは――
- 本拠地は北陸。
- 練習は拠点分散型で集合練習の頻度も多くはない。
- チーム成績はこれまで下位。(23-24は6位、24-25は5位)
- まだ“成長中”の若いクラブ。
冷静に比較すれば、金沢を選ぶ理由なんて、どこにもありません。
でも、諦めたくなかった。
正直、自分ひとりでは、説得の材料が見つからなかった。
「強くするから…」「支えるから…」
――どれもキレイごとに聞こえてしまう。
だからこそ、チーム一丸となって動きました。
川嶋(共同代表)はもちろん、事業サイドの堀や町田、応援団長・かわニャンまで、あらゆる視点から知恵を出し合いました。
「監督ひとりの力で獲るんじゃない」、「チームで迎える」
その姿勢でぶつかりました。
キーワードは「シングルスでもっと強くなりたい」
広夢が何より大切にしていたのは、“シングルスでの成長”でした。
何度も、何度も、2人で話を重ねました。
「遠慮せずにいこう」
「遠慮と配慮は違う。遠慮は、成長の機会を逃すこと」
彼はプロ意識が高く、厳しい要求をする選手です。
本人も「僕、西東さんの熱さにツッコミ入れちゃうかもです(笑)」と話してくれたくらい。
でも私はその “要求の高さ” の裏に、
「焦り」や「不安」といった繊細な感情も感じました。
だからこそ伝えました。
「一緒に走る。伴走する。それだけは約束する」
監督の僕が小林選手からのアドバイスで上達しました笑
初めての一緒に練習をした日、7時間近く練習しました。
正直、私は練習相手にもなりませんでした。
でも広夢は腐らず、むしろ私を“育てて”くれました。
- 「ブロックはこうした方が安定します」
- 「今の打ち方はこうなってます」
- 「多球練習の出し方はこうです」
「監督も変われば、僕も強くなる」
そんな覚悟が、背中から伝わってきました。
私のブロックも、少しずつ上達しています(笑)
ぜひ、今までのYouTube動画と見比べて違いを見つけてください。
朝6時23分のメッセージ
ある朝、6:23。広夢から動画が届きました。
「ストップからの回り込み、このパターンが参考になるかも」
24時間営業の私には、こんなやり取りが嬉しくてたまりません。
選手は、孤独との戦いです。
遠征先の海外で、誰かと話したくなる夜もある。
だから「夜中でも連絡していいよ」と伝えています。
「西東なら起きてるだろ」
そう思ってもらえる存在になりたいのです。
その際のスクショのやり取りを少し公開します(本人の了承を得ています)



一言で言えば「必死で、素直な男」
小林広夢という選手を、一言で表せば、「必死で、素直な男」です。
良いアドバイスには「ありがとう」と言ってくれる。
不要なアドバイスには「ちょっと違うかも」と伝えてくれる。
社交辞令ではなく、真剣にぶつかってくる。
だからこそ私も、たくさん失敗して、たくさん気づいて、一緒に成長していきたいと思っています。
金沢ポートの未来とともに
Tリーグ開幕直前、彼は人生初のWTTにも挑戦します。
場所はアルゼンチン。飛行機、VISA申請、準備すべてが初めての経験です。
それでも、広夢は金沢ポートを選んでくれた。
だから、彼の成長とチームの成長が、同じ曲線を描けるように、
私は監督として、全力で伴走していきます。
どうか温かく見守ってください。
来年の3月、金沢ポートが見せる奇跡に向けてーー私たちは今、走り出しています。
最後に、小林選手が金沢ポートへ入団を決めてくれた想いをインタビュー形式で答えてくれた、こちらの動画もぜひ、ご覧ください。