【アプリ先行配信】インタビュー(野田夢乃ヘッドコーチ)
シャチのように、開花せよ。
―「BLOOM UP」に込めた想い―
今シーズンの東京山九フェニックスは、ただ強くなるだけではない。「個の成長」と「チームの進化」を重ねながら、勝利のその先にある“開花”を目指している。
そう語るのは、野田夢乃セブンズヘッドコーチ。
今シーズンのセブンズチームスローガンは「BLOOM UP(ブルームアップ)」。
昨季の「LINK UP(リンクアップ)」で築いた結束を土台に、次は一人ひとりが才能を花開かせることに重きを置いた。
「昨年は“つながる”がテーマ。今年はそのつながりを武器に、個人個人がさらに成長して“開花”してほしいという思いを込めました。」
さらに、サブスローガンには“Like a Killer Whale(シャチのように)”というメッセージが添えられている。
シャチは「海のギャング」と呼ばれるほどの知能と強さ、そして群れでの連携力を併せ持つ存在。それでいて、ショーなどで人々を魅了するチャーミングな一面も。
「フェニックスの選手たちにぴったりだと思ったんです。知的で、強くて、魅力的。そんなシャチのように、自分たちの力を信じて咲いてほしい。」

若きフェニックスたちの挑戦
今シーズンのセブンスチームは若い選手が多く、当初はコミュニケーションの面で苦戦する場面もあったという。
だが、「まずは発言する」というシンプルなルールから始め、少しずつ選手たちの“声”が増えていった。
「受け身じゃなくて、自分から発言してくれるようになった。チームのために自分が何をすべきかを、全員が考えるようになってきたんです。」
「実力はあるが背中で語るタイプだった」という石田茉央、岡元涼葉の2人にも、リーダーという役割を与えた。
その目的は、「プレーだけでなく、発言でもチームを動かす存在」へと成長させるため。

小さな身体でも、大きなスピリットで走り勝つ
今シーズンのメンバーは「小柄」だが、絶対に諦めない。走り続けるこのしつこさと粘り強さを徹底的に磨いている。
「走り勝つしかない。14分間、攻守問わず全力で“しつこく”やり切る。そのための準備はしています。」
プレシーズンでは、まるでミツバチのように群れで襲いかかりチーム全体が1つの意志で動く姿に、ヘッドコーチも手応えを感じている。

注目のプレイヤー:尾崎夏鈴
多くの注目選手がいる中で、強いてあげるなら飛躍が期待しているのが尾崎夏鈴選手。
もともと高いスキルを持ちながらも、シャイな性格で自分の力を表に出すことが少なかった。
しかし今季、ポジションをウイングからミドルポジションへ転向したことで、大きな変化が現れた。
「今まで以上に周囲とのコミュニケーションが必要なポジションで、彼女自身がすごく積極的に声を出すようになった。今までは得点を取るポジションだったが、味方を活かせるプレイヤーになった。オプションも豊富で、相手にとっては本当に嫌な選手になっていると思います。」
キック、パス、ラン…すべてを兼ね備えた尾崎選手は、まさに今“開花”の時を迎えている。

目指すはシリーズ制覇
今シーズンの目標は明確だ。「各大会で優勝し、最後のグランドファイナルでも頂点に立つ。そしてシリーズ優勝をもう一度掴み取る」。
「相手がどこであれ、自分たちのラグビーをやれば絶対に勝てる。」
どんなチームとも真っ向勝負を挑むフェニックスの姿勢には、ブレがない。
全チームがライバルであり、自らが“やるべきラグビー”を貫くのみ。開花の時を迎えた“シャチたち”の挑戦に、今シーズンも注目だ。
